奈良交通創立80周年記念
フォトコンテスト 冬

結果発表

たくさんのご応募ありがとうございました。

選考にあたりましては、入江泰吉記念奈良市写真美術館 館長 大西 洋 様を審査員にお迎えして
審査いたしました。

「バスのある風景」部門

【優秀賞】
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この写真は奈良市の特有の風景を巧妙に捉えています。奈良市で鹿が神聖な存在として扱われていることを背景に、バスと鹿が交差点で対面する様子は、自然と現代生活の調和を象徴しています。

構図では、前景に配置された鹿が即座に目を引きます。鹿は奈良市の象徴として尊重され、その神聖な役割を強調しながらも、バスとともに都市の一部として描かれています。このように、鹿とバスが同じ空間に存在することで、伝統と現代の融合が感じられる一枚です。

色彩使用においても、バスの緑色と鹿の自然な茶色が調和しており、画像全体に穏やかで和やかな雰囲気をもたらしています。この色の組み合わせが、奈良市の環境への敬意と保護のメッセージを強く伝えています。

技術面では、動きのある鹿をクリアに捉えつつ、バスのディテールまでしっかりと表現されている点が優れています。鹿の表情やバスのデザインが細部まで綿密に描写されており、写真からは奈良市の日常が生き生きと伝わってきます。

【入選】
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この入選作品は、モノクロームのフィルターを使用して奈良市のバス停の日常を切り取っています。モノクロームの選択がこの写真に独特の雰囲気を与え、時間の流れを超えた普遍性を表現しています。

構図においては、バスが遠景に配置され、周囲の自然との調和を強調しています。バス停のシェルターが中央に位置し、その構造が視覚的な重心を形成している一方で、背景に見える車両が遠景を通じて都市の生活の動きを象徴しています。

この写真の特徴は、その静寂感と孤独感です。広大な前景の草地が、この場所の静けさを強調し、観る者に平和で落ち着いた感覚を提供します。また、モノクロームの効果で、光と影の対比が際立っており、自然光の使い方が卓越していることが伺えます。

技術的には、シャープなフォーカスと広いダイナミックレンジがこのシンプルながらも力強いシーンをしっかりと捉えています。モノクロでの撮影は、色に惑わされることなく、形と構造に焦点を当てることを可能にし、それがこの写真のクリアな視覚的メッセージを強化しています。

総じて、この作品は奈良市の日常風景を静謐に、しかし力強く映し出しており、バスという公共交通の要素を通じて地域社会の一端を感じさせる素晴らしい写真です。

【入選】
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この入選作品は、奈良市の郊外を走る自動運転バスの試験運転を捉えています。バスが画像の前景に位置している一方で、背景には伝統的な日本の家並みが広がり、最新技術と地域の伝統が共存する様子を象徴的に表しています。

構図は非常に効果的で、バスが画面の右側に配置されており、左側の道路との対比を通じて画像に動きと方向性が与えられています。これにより、自動運転という先進技術が進む方向と、それが地域社会にどのように溶け込んでいるかを視覚的に強調しています。また、遠くの山々が優れた背景を提供し、技術と自然の調和が見事に示されています。

色彩面では、バスのカラフルなストライプが写真に活気をもたらしており、技術革新がもたらす明るい未来を象徴しているかのようです。加えて、冬の明るい日差しが全体に温かみを与え、シーンに更なる生命を吹き込んでいます。

この写真の強みは、自動運転バスという革新的な技術が地域社会の日常にどのように組み込まれているかを示している点です。公共交通の新しい形態が、伝統的な風景の中でどのように機能し、地域の連携と活動にどう影響を与えるかを捉えています。

全体として、この作品は奈良における技術革新と日常生活の融合を視覚的にも情緒的にも魅力的に描いており、地域の生活のリズムと景観の美しさを見事に捉えています。

【入選】
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バスが冬景色の中を走る様子が描かれており、日常の移動手段がどのように地域の風景と調和しているかを示しています。バスは画像の左から中心へと動いているように見え、その動きが写真に活動感を与えています。

背景には雪に覆われた家々と山々が広がり、冬の奈良の静けさと美しさが感じられます。この寒々とした景色の中で、バスの存在が暖かさと活気を象徴しており、寒い季節における生活の一助としての公共交通の役割を浮き彫りにしています。

写真の技術的な面では、光の反射が雪のテクスチャを際立たせ、冷たい空気感をうまく表現しています。また、道路が画面の奥へと続いている構図は、バスの移動する道のりを暗示しており、視覚的な導線として機能しています。

全体として、この写真はバスという交通手段が地域の日常風景にどのように溶け込んでいるかを効果的に捉えており、「バスのある風景」テーマに対して非常に適切な表現をしています。バスがもたらす動きと周囲の静かな環境との対比が、観る者に強い印象を与える一枚です。

「とっておきの奈良」部門

【優秀賞】
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この優秀賞を受賞した写真は、奈良の象徴的な風景を見事に捉えています。鹿が正面からこちらを見つめる姿が、鮮やかな朱色の鳥居を背景に配置されており、奈良の精神性と自然の調和を象徴しています。

構図はこの写真の力強さを一層引き立てています。鳥居と階段が奥行きをもたらし、画像の中央に位置する鹿が視点の焦点となっています。この配置により、観る者の目は自然に鹿とその背後の風景に導かれ、奈良の歴史的かつ文化的な重要性が強調されます。

色彩においても、朱色の鳥居と緑色の樹木が対照的でありながらも調和しており、自然と人工物の絶妙なバランスが表現されています。この色の組み合わせが、奈良の神聖な雰囲気を一層際立たせています。

また、この写真は照明と霧の効果を巧みに使用しており、神秘的で幻想的な雰囲気を醸し出しています。鹿の姿とその周囲の空気感が、奈良の静けさと精神的な深さを感じさせるように作用しています。

全体的に、この作品は奈良の文化的アイデンティティと自然の美しさを巧みに捉えたものであり、観る者に深い印象を与えることでしょう。奈良の魅力を代表する一枚として、非常に価値のある写真です。

【入選】
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この写真は、雪景色を背景にした古い木造の建物の内部から撮影されています。この写真の構成は、中央に位置する出口が視線を自然と外の景色に導くよう設計されており、内部と外部の世界が巧妙に繋がっています。この建物の構造自体も注目に値し、古木の質感と細部が美しく捉えられています。

明るい外の雪景色と比べて、建物内部の暗さがコントラストを生んでおり、それが神秘的な雰囲気を醸し出しています。屋根の隙間から漏れるわずかな光が、床に映る模様を作り出し、視覚的に魅力的なエフェクトを与えています。

撮影技術としては、露出がうまく管理されており、高いダイナミックレンジが評価できます。内部の暗さと外部の明るさのバランスが保たれているため、両方のディテールがしっかりと表現されています。ただ、もう少し内部に光を当てることで、木造の構造のディテールをさらに引き出すことも可能であったかもしれません。

全体として、この写真は「とっておきの奈良」というテーマに沿った、地域の自然美と伝統的建築の魅力を見事に捉えていると思います。より地元の雰囲気と歴史の一端を感じさせる一枚であり、観る者に奈良の静けさと美しさを伝える効果的な表現となっています。

【入選】
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この写真は、厳しい冬の環境下で氷の上に屈んで写真を撮影している人物を捉えています。写真は、その行為に集中している人物の熱意と寒色系のトーンを使用して、寒冷な氣候を感じさせる効果を上手く表現しています。人物は中心に配置され、その周囲の氷の広がりが背景としてぼやけており、焦点が明確に人物の行動に当てられています。

撮影の技術面において、浅い被写界深度が効果的に使用されており、視覚的に人物の動作に集中させることができます。また、光と影の扱いがこの冷たいシーンの雰囲気をさらに強調しています。

「とっておきの奈良」というテーマに関して、この写真がどのように適合するかは、撮影された環境やその背後にあるストーリーに依存しますが、都市部と山間部が混ざり合う奈良の冬の特性を捉え、それに耐えながら美を追求する人物の姿勢は、地域の精神性や美的感覚を表現していると考えられます。この写真が自撮りであるのか、他者による撮影であるのかは明確ではありませんが、どちらにせよ、写真家の技術と環境に対する挑戦が伝わってくる作品です。この点を踏まえ、撮影の状況や意図についてさらに考察してみたいと思う一枚でした。

【入選】
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重厚な雪が木々と神社の建物を飾り、一面の白さが広がる中で、アプピニストが前を向いて歩く姿が非常に印象的です。背景に見える「大峯山寺」と刻まれた石碑が、場所の精神性と歴史的重要性を物語っています。 写真の色調は冷たい冬の雰囲気を強調しており、寒色系の色使いがその感じをさらに深めています。ハイカーの装備も目に留まり、厳しい冬の条件下での登山の準備が適切にされていることが伝わってきます。特に、雪の中を進むアルピニストの姿勢からは、その冒険への意気込みと自然との一体感が感じられます。 この写真は「とっておきの奈良」というテーマに合っています。奈良の自然と古代から続く文化的遺産の美しさを捉えつつ、現代の探求者がそれをどのように体験しているかを示しています。この組み合わせは、観る者に奈良の魅力を多角的に感じさせ、地域の豊かな歴史と自然の息吹を伝える効果的な表現となっています。

審査員

入江泰吉記念奈良市写真美術館
館長 大西 洋
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【略歴】
1966年 | 東京都生まれ
1990年 | 青山学院大学卒業
2003年 | 芸術情報誌アーティクル 主宰
2012年 | インターネット写真専門書店「写々者 (shashasha.jp)」共同創業
2015年 | 写真集専門出版社 株式会社Case (ケース) 創業
2022年 | 入江泰吉記念奈良市写真美術館 館長就任